日進月歩

文章を書く練習

野良の秘密基地

6月24日、25日。劇団『おぼんろ』さんを始めとする役者さんたちによって『野良の方舟』という物語を紡ぐために、とある場所に造られた『野良の秘密基地』。

そこへ遊びに行ってきたので少し思い出話。野良たちに許可もらってないので写真は無いです。万が一、写真探して辿り着いた野良がいたらごめんね。というかそもそも遊ぶのに夢中で帰り際に撮ったやつくらいしかない…。

 

新宿駅から1時間〜1時間半ほど電車に揺られ、最寄りの藤野駅を出ると野良動物たちに出迎えられました。「招待状どうぞ〜ここを真っ直ぐ行ってね!」「ここ降りたら左だよ」「じゃんけんに勝ったら通してあげる!」などなど、土曜日は雨にも関わらず晴れやかで賑やかな、日曜日は暑い陽射しの中で爽やかなお出迎え。天気、足して2で割ればちょうどよかったのにな〜道案内の野良たちお疲れさまでしたありがとう!

廃墟の地下を改造して造られた基地に入るときに、日本円をノラという貨幣に交換して、ノラとしての名前をつけたらあっという間に野良動物たちの仲間入りができます。猫耳をつけて、野良猫ハルのできあがり。

基地の中にはお店が並び、巾着袋に入ったノラが動物の耳やフェイスペイント、たこ焼きやポップコーンやジュースやお酒に姿を変えていきます。地元の方のパン屋やアクセサリー屋もあって、さながら学園祭のよう(ほぼ経験したことないのでイメージですが)。野良動物たちによる歌やダンスやお芝居などのパフォーマンスタイムや、彼らと交流をすることで進められるスタンプラリー、みんなの願いごとを書くスペースや、ペコ姐さんによる占い(マジでよく当たる)まである。スタンプラリーには不思議な仕掛けもあって、完走するといたずらっこなネコやハムスターと犬のおまわりさんの攻防を見ることができて微笑ましかったし、楽器隊とは一緒にセッションしたり歌を教えてもらったりもした。カスタネットみたいな何かをみんなに合わせて叩いただけなのにみんなめちゃめちゃ褒めてくれて新入り野良はとてもご機嫌でした。1人で餅を食べていたりジュースを飲んでいたりすると「それなにー?おいしい?」と声をかけてくれたり、スタンプラリーでよくわからなくなっていると「全部集まった?なにか探してる?」と手を差し伸べてくれたりと、みんな気さくで暖かくて、末原さんが子どもたちから感銘を受けたという「そこにいたから(友だちになった)!」という言葉がここにはあるんだな〜と実感した。

こんなふうに物語以外の時間もあっという間に過ぎていく、というよりも秘密基地にいる時間のすべてが物語の一部。1日目の夜はみんなで歌を歌って、2日目の夜はキャンドルセレモニーも行われて、僅か2日間の秘密基地は閉幕。でも、月を見ればクロを思い出すし、道ばたの猫を見ればみんなを思い出す、そんな暖かい2日間でした。末原さんが「火は分けると増えていくから好き」と話していたけど、物語も同じで話せば話しただけ増えていくし、それぞれのものにもなっていくから素敵だなあ、と蝋燭の光の中でクロの物語を聞きながら思った。

子どものときにこんな場所があったらな、と思ったけど、きっと子どものときは至るところが秘密基地だったから、大人になった今こそあの場所が輝いたんだろうな。またどこかの秘密基地で、それ以外の場所でも、みんなに会えますように。

 

物語『野良の方舟』の感想は、またあとで。