日進月歩

文章を書く練習

2018年4〜6月 観劇振り返り

◇4月◇

朝劇 西新宿 恋の遠心力

朝ごはんがいただけて劇を見られて2500円(※6月から少々値上がり)はコスパが良い。開演するとお店のシャッターが閉まるので、本当に宇宙船に乗ったみたい!45分くらいだけど、ハラハラしつつもたくさん笑って最後ちょっとほろっときて、と結構盛りだくさん。でも朝から見るのにちょうど良いくらいのボリューム。アスカもツバサもかわいいよ〜〜〜!!!!客席との距離が近くて新鮮。

リトル・エスパーティ

初メロトゲニ。死んだ人をおまじないで蘇らせるという非現実的な部分と、そこから始まるそれぞれの隠してきたことや思いという現実的な部分が、ミスマッチなのになぜかうまく共存していておもしろかった!誰かにとってはなんてことない過去の出来事でも、誰かにとっては前に進めなくなるくらいに大切だったり重たかったりして、それを尊重し合うことはできても理解し合うのはすごく難しい。最後に弟くん(名前忘れてしまった)が電話する姿を見てなんにも変わってない!!!と頭を抱えたけど、なんとなく腑に落ちたところでもある。

◇5月◇

朝劇 西新宿 恋の遠心力

5月は2回見ました。1週間の中で1番早起きが楽しみになる。日曜公演だとニチアサがリアタイできないのが唯一の難点ですが致し方なし…しかし朝劇からのヒーローショー11時回は可なので天才的な朝劇(※6月からは暫定11時開演)。職場と近かったら平日も行ってみたかったな〜日によって配役が少しずつ違うのでその違いも面白い。

焔の命

キャガプシー

今のところ2018年ナンバーワンです。結局4回見ました。感想がまとまらない。

フーリッシュゲーム

90分。暗転がなく場所や時間の移動もないながら、葬儀から抜け出してきた人たち、というちょっと特殊な空気感や、田舎特有の閉塞感のようなものが伝わってきて途中で飽きることなく見られた。ただ、テンポの良い会話が続いた分、終わりの急展開に置いて行かれてしまった。

キリグス 

前衛的だった。まず会場に入ったときの衝撃度合いでいうと観劇人生トップスリーには入りそう。なんか、人、寝てるし…。短編3つ。①は前半の女性独白が好きだったんだけど、以降、配役がそっと変わっていくのでよくわからなくなってしまった。水が何かのメタファーだったのかなと思ったんだけど、それもぴんとこなかった。②(奥さんと喧嘩して家出したら、天狗となんやかんや起こるお話)はちょっと長いかなあと思ったけど、落研の方らしく言葉のチョイスが秀逸でところどころで笑えた。③(顔みたいな形の島から出て、隣国でリズム試験を受ける話)はスクリーンとか空間をうまく使ってておもしろかったけど、世界観が謎の島から世界観が謎の国へ行くのでずっと世界観が謎だった。リズム試験がくせになる。レバニラハニトー♪

はこぶね

神さまの声が聞こえてくるようになったため、信者4人くらいの新興宗教を、なんとなく流れで始めることになったニートの青年と、彼を信じることにした人々の短いお話。特にこわいことの起きない日常系カルトマインドフルネスコメディです。

サークルの風景を見ているみたいだったな、が1番の感想。ひとつの宗教を信仰する集団とは言っても信仰の理由はそれぞれで、どのくらい本気なのか、どんな方向に本気なのかもみんな違う、そこのズレ具合がサークルあるあるで身に覚えがありすぎていたたまれなかった。あと新参の鳩山さんから漂うサークラ感。これは教祖ことタロウくんにもっとしっかりしてほしいという話だけど。確かに『特にこわい』ことは起きないのだけど、笑いが多くありつつところどころ背筋が寒くなった。部屋の中が舞台だけど会場が真っ白い空間だったのも、日常と非日常が混じっているかんじがしてよかった。最後に演者さんたちがハレ晴レユカイで踊ったんだけど、イントロで1人笑ってしまった。世代がバレるね!

MAPS 

モマを夢に注力した感じかなあ。メッセージ性はあるけど重たくなくて、気負わず見られて良かった。ただ、挫折したけどまたがんばろう!じゃなくて、騙されてたけどやっぱりみんなでやっていこうぜ!という流れなのが若干もやもやしてしまった。自分には嘘だとわかっていて夢に乗っていく度量がないのだろうな。あと、ええと、たわださんかわいいです。アザラシとピカ7のイエミツを足して2で割るとMAPSの船長になる、たぶん。純粋ゆえの狂気が強烈だった。みなみけいすけさんほぼ出ずっぱりだったのだけど、だいたいサンシャイン池崎か????というくらいハイテンションだった、そしてワ○ミの店員さん。キュウレン素面公演みたいなテンションだったんだけど、もしかしてわりと素なのか、毛利さんがああいうのを求めているのか。岩田さんのぱーふぇくといんふぉめーしょん!最高だったしイセダイさんのヤジでめちゃくちゃ笑った。

◇6月◇

髑髏城の七人 風

キャガプシーロスと突然の残業週間に耐えられずパワーを欲して岡山まで行ってきました。行って良かった〜!!!推しの地方公演を追いかけて遠征することはあったけど、地方を拠点とする劇団を観に遠征したのは初めてだったので新鮮だった。

ステアラの髑髏城は全く見てなかったのだけど、客席が回転するくらいだしさぞ豪華絢爛なセットを使っていたのだろうと思うので、小道具しかないような舞台でしっかり成立させていたのでびっくりした。捨之介と蘭兵衛の色気がすごい。ステアラの月を見た友人が「蘭丸許さない……」とうわごとのように言っていたので覚悟していたのだけど、(そもそも蘭兵衛を見に行ったところがあるとはいえ)信長を独りで死なせてしまった後悔の気持ちや哀しみが刺さって、許せないけど責めもできない苦しい心持ちだった。

希望のホシ2018

刑事ものだと思っていたけれどかなりヒューマンドラマ寄りだった。真相に若干の疑問が残ってしまったけれど、心情の描き方がとても好きだったのでトータルめちゃくちゃプラス。大人たちが隠そうとした事実に対して子どもたちが「そんなの関係ないよ」と言い切るシーンと、エルピスが子どもたちに会いに来るシーンがとても好きだった。たぶん少年社中さんのネバーランドとかが好きならこういうのも好きなんじゃないかな。緒月遠麻さんかっっっこよかった…………はあ……………

あちゃらか2

めーーーちゃくちゃ楽しかった!!!前作見てないから気付けてないこともあるんだろうけど、ストーリーついて行けないとかはなくて見やすかった。切なくなっていくのかと思ってもすぐ笑いに引っ張っていかれるのでほぼずっと笑っていて楽しかったな〜。終演後にしか販売しないクリアファイル買ってしまった。こんなふざけたグッズ久しぶりに見た(褒めてます)!劇中にはメタネタ時事ネタがたくさんあったけど、某監督みたいな嫌なタイプの時事が記憶の限りでは使われて無かったのが優しい世界だなあと思った。

DAY ZERO

オリジナルミュージカル。アメリカ映画が原作だけど現代日本にも通じるテーマだったと思うし、全員歌がうまくてそれぞれの気持ちがすごく伝わってきて、見やすくて良かった。福田さん作画が強い。内藤さんの歌声がとても自然に染みて好きだな〜。

シャンデリヤ

4つの短編。全部楽しかった!

①『ER』ダメ男(イクオ)とその彼女(コスモ)と彼の車に轢かれて身体が2つに分かれた女(カスミ×2)の三人芝居…いや、四人芝居?一言目の「僕の名前は『親の敷いたレールの上をイクオ』」で絶対好きな話だ!と思ったら本当に好きな話だった。コスモとカスミは、カスミが轢かれて真っ二つなことなど歯牙にもかけずに「(カスミ)ちょっとどうしてくれるの、髪もメイクもぐちゃぐちゃなんだけど!怒」「(コスモ)ねえ今日の動画まだ撮ってないよ!今撮ろう〜♪……ねえこの女の人だれなの!?どういう関係!?」などなど。目の前のことに夢中で周りが見えていない現代人の象徴だったのかな。コスモは動画総再生回数9兆超えの人気ユーチューバーで、録画前のおっさん全開な咳払いと、お決まりのフレーズらしき「コスモパニック〜☆」の可愛さとのギャップがすごかった。

②『輪になって踊ろう』バイトに行きたい男と、NHK受信料を払ってほしい女と、浄水器の訪問販売の女と、フリーハグの男と、「バイトに行きたい男」の隣人の女の話。意味はわからなかったけど、全員の「それっぽさ」がすごかった。フリーハグの男の持ってるスケブが「FREE HAG」って書いてAをバツで消してUに直してあったのじわじわきた。

③『ある研究者からの手紙』危険な実験をしたい博士とその助手、そして被験者4人の話。被験者たちの真面目に不真面目なところがおもしろくてずっと笑ってた。最後の博士の表情が狂気的で鳥肌ものだった。

④『コロス県自殺市呪い村四丁目』怪しい噂のある村へ行く2人の記者と、そこへ行く芸能人たちと、村人(人?)の話。誰かをネットで叩いたことがある人や、推しがネットで叩かれたことがある人に見てほしかった。心臓が痛かった。

野良の方舟

 

野良の方舟

人間たちから愛されなかった野良動物たちは、舟を造り、どこかへ行くことを決めた。方舟を造る中で動物たちは持ち主と記憶をなくした「影」に出逢い、クロと名付けて仲間となり、共に旅へ出る…、というお話。小学校で公演したものを大人向けに少し付け足して秘密基地で公演したものを観てきました。

特に信仰心があるわけではないのだけど、クロを連れて行こうとする神さまたちへ野良動物たちが言う「神さまなんて大嫌いだ」「クロは渡さない!」「神さまお願い 出て行ってよ」という叫びが印象的だった。何があったわけでもない、ただ友だちであるクロのことを愛して共にいたいと願う。その気持ちは神さまとか理屈とか、全部越えていく。一緒にいたい、ただそれだけなんだけど、愛されなかった哀しみを持つ野良動物たちだからこそ、仲間を全力で愛している姿が美しくて少し切なかった。

含みのある台詞があった野良犬のシューベルトも(あのくらい余白あるの好きだけどね)、最後には猫のペコと拳を合わせて仲間たちの輪に戻る。キャガプシーのときにツミの手を取れなかったネズミを演じたさひがしさんがシューベルトということもあって、勝手に繋げて感極まってしまった。

劇中で聞く「しょっぱいうみ」や「シンプル讃歌」は他で聞くときにも増して心に染みた。自由席なので3回で手前→中央→奥と座ったのだけど、見えなかった表情が見えたり聞こえなかった声が聞こえたりして毎回楽しかったし、特に最後は舟の中にいるような席だったのでクロの表情がよく見えて、舟を去るときの寂しいような、でも何も怖くないと言いたげな表情が切ないけれど大好きだった。終わったあとに野良動物たちがお見送りしてくれたのだけど、そのときの表情がみんな晴れやかで眩しくて、涙収まってから出ようとしたのにみんなの顔見たらまたぶわっと泣いてしまった。笑 でも野良たち\ベソよりよく泣くー!/って笑ってくれてほんとみんな好き(語彙力)

 

君といたいよ ずっといたいよ

理由はないさ 君といたいよ

 

『しょっぱいうみ』

 

キャンドルセレモニーのときには末原さんの一人語りでクロ視点の物語りも聞けて、ますます自分の中で野良の世界が宝物になった。みんなでキャンドル持ち寄ってお話聞くの、秘密基地とかキャンプとか、そういうわくわくが詰まった空間にいた頃を思い出した時間でした。また遊びに行きたいな。

 

のらーりくらりといつまでも のーーーーら!🐶😺🐤🐹

野良の秘密基地

6月24日、25日。劇団『おぼんろ』さんを始めとする役者さんたちによって『野良の方舟』という物語を紡ぐために、とある場所に造られた『野良の秘密基地』。

そこへ遊びに行ってきたので少し思い出話。野良たちに許可もらってないので写真は無いです。万が一、写真探して辿り着いた野良がいたらごめんね。というかそもそも遊ぶのに夢中で帰り際に撮ったやつくらいしかない…。

 

新宿駅から1時間〜1時間半ほど電車に揺られ、最寄りの藤野駅を出ると野良動物たちに出迎えられました。「招待状どうぞ〜ここを真っ直ぐ行ってね!」「ここ降りたら左だよ」「じゃんけんに勝ったら通してあげる!」などなど、土曜日は雨にも関わらず晴れやかで賑やかな、日曜日は暑い陽射しの中で爽やかなお出迎え。天気、足して2で割ればちょうどよかったのにな〜道案内の野良たちお疲れさまでしたありがとう!

廃墟の地下を改造して造られた基地に入るときに、日本円をノラという貨幣に交換して、ノラとしての名前をつけたらあっという間に野良動物たちの仲間入りができます。猫耳をつけて、野良猫ハルのできあがり。

基地の中にはお店が並び、巾着袋に入ったノラが動物の耳やフェイスペイント、たこ焼きやポップコーンやジュースやお酒に姿を変えていきます。地元の方のパン屋やアクセサリー屋もあって、さながら学園祭のよう(ほぼ経験したことないのでイメージですが)。野良動物たちによる歌やダンスやお芝居などのパフォーマンスタイムや、彼らと交流をすることで進められるスタンプラリー、みんなの願いごとを書くスペースや、ペコ姐さんによる占い(マジでよく当たる)まである。スタンプラリーには不思議な仕掛けもあって、完走するといたずらっこなネコやハムスターと犬のおまわりさんの攻防を見ることができて微笑ましかったし、楽器隊とは一緒にセッションしたり歌を教えてもらったりもした。カスタネットみたいな何かをみんなに合わせて叩いただけなのにみんなめちゃめちゃ褒めてくれて新入り野良はとてもご機嫌でした。1人で餅を食べていたりジュースを飲んでいたりすると「それなにー?おいしい?」と声をかけてくれたり、スタンプラリーでよくわからなくなっていると「全部集まった?なにか探してる?」と手を差し伸べてくれたりと、みんな気さくで暖かくて、末原さんが子どもたちから感銘を受けたという「そこにいたから(友だちになった)!」という言葉がここにはあるんだな〜と実感した。

こんなふうに物語以外の時間もあっという間に過ぎていく、というよりも秘密基地にいる時間のすべてが物語の一部。1日目の夜はみんなで歌を歌って、2日目の夜はキャンドルセレモニーも行われて、僅か2日間の秘密基地は閉幕。でも、月を見ればクロを思い出すし、道ばたの猫を見ればみんなを思い出す、そんな暖かい2日間でした。末原さんが「火は分けると増えていくから好き」と話していたけど、物語も同じで話せば話しただけ増えていくし、それぞれのものにもなっていくから素敵だなあ、と蝋燭の光の中でクロの物語を聞きながら思った。

子どものときにこんな場所があったらな、と思ったけど、きっと子どものときは至るところが秘密基地だったから、大人になった今こそあの場所が輝いたんだろうな。またどこかの秘密基地で、それ以外の場所でも、みんなに会えますように。

 

物語『野良の方舟』の感想は、またあとで。

 

キャガプシー ネズミのこと

http://www.obonro-web.com/15

 

この数日後に2回目のキャガプシーを見てからずっと、ネズミのことを考えている。自分はネズミに対しての想いを発するときにいつも『好き』と言っていたけれど、違うなとも思ったので、まとまらなさそうだけど文字にしてみる。

 

ネズミは、自分が幸せになることを諦めながらもどこかでは諦めたくないと思い、しかしその思いと向き合うことから逃げていたのかな、と思った。

汚れたような茶色の服を身に纏い、「色なんてどうでもいいだろ」と言い、世界を「どんよりとしていて憂鬱になる」と表現しながらも、ネズミが色をつけたウナサレは様々な色を持っていた。ツミと出会ったときに「色なんて、なくてもいいだろ」と言い、「依頼主(ツミ)はどのみち色なんてわかりゃしない」とも言っていたネズミがしかしそうしていたのは、ツミの言う「色は心」を信じたいと思っていたからなのか。自分のためにとは色をつけられないけれど、最後に絵の具の缶に顔をくっつけていたように、いつも色を確かめながら、ウナサレやその他のキャガプシーたちに想いを託すように色を塗っていたのだろうか。ツミが「いっとう好き」と言った水色を最後、自らに塗り「世界は綺麗だ」と言ったのは、ウナサレと向き合ったことで自分の気持ちとようやく向き合うことができたから、自分のために行動してみようと、世界は綺麗だと信じてみようと思ったのか。

ネズミは、怒りを力にして、穢れをなくして世界を変えることで救われたいと思っていたけれど、ネズミの本当の部分であるウナサレは、愛を力にして、自らが変わることで世界を変えたいと言い、ツミやトラワレを確実に変えた。トラワレが、10年共に居たネズミとは最後に道を別れてしまうけれど、「ネズミの本当の部分」でもあるウナサレとは心を通わせることができたのは、希望もあるけれどとても切ないことだったなと思う。

 

考えれば考えるほどネズミに対する感情が何なのかわからなくなっていく、ということがわかった。また考えたら追記なり編集なりする、かも。

キャガプシー 雑感

葛西臨海公園を奥に奥に進んでいくと、ふと現れるテント
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 中に入ると劇団おぼんろ『キャガプシー』の物語の世界がありました。

 

http://www.obonro-web.com/15

 

語り手の高橋さんに席を提案していただいた(自由席)のでそのまま着席、というか着座。なんと座布団。開演前は演者さんたちがお客さんに声を掛けたり写真撮影に応じたりしていて新感覚だった。あと飲食可だったからポップコーン売ってて、食べてる方に「ほんとに買ってる!」「歯に挟まるから気をつけろよ!!!俺は騙されないからな!!!」などと絡んでいらっしゃって自由だった。開演前の末原さんの「暑いとか寒いとかありますか?…あってもなにもできないので!自分のことは自分でやっていただいて!」気遣いと突き放し、飴と鞭。※一応膝掛けはいくらか準備あるみたいでした。

公演前にちょっとした導入があったんだけど、もうその導入から新感覚でがっつり掴まれてしまってそこから最後まで駆け抜けていった。

 

公演についてはネタバレしない程度に…

 末原さん演じるトラワレの、喜怒哀楽でいう『哀』の感情がめちゃくちゃ刺さった。哀しみを哀しみとわからないキャガプシーの、しかし確かに哀しみであるその感情が、ウナサレと出逢ってぐちゃぐちゃにかき乱されて変化していく様子が圧倒的だった。そしてスタイルがめちゃめちゃ良い。目の前に倒れてるとき呼吸してて(それはそう)、頭ちかちかした。高橋さんのウナサレも純真無垢そうで、でもわかっていることもある絶妙な部分が成り立っていてもどかしかった。少しずつ人形が完成していく様子もわたしはひとつしか気付かなかったけどあって、たぶん他にもあったのかな。わかばやしさんのツミは歌がとてもよかった、1回はまさに目の前で見ることができてますます心に刺さった。あとネズミの正体を知ってしまったときに一旦抑え込むところが痺れた、あそこ一旦持ち直すんだ…と。さひがしさんのネズミは、ネズミ!!!!まじで!!!!ここが!!!!1番!!!!衝撃でした!!!!!ネタバレなってしまうから言えないけど、はーーーーーずるい………絶対に好きになれないと思ってたのに最後後頭部がつんとやられたような衝撃に涙止まらなくなってしまってもうずっと明転しないでほしかった。昨日の開演前のわたしへ、ハンカチは出しておけ。

 

セットもすごかった。まず駅から会場まで導いてくれる道々のキャガプシー。そして原っぱの中にそびえ立つ大きなテント。10日ほどで公演が終わると撤去されてしまうということも相まって、まるで魔法みたい。中に入ると10〜20脚ほどのパイプ椅子とたくさんの座布団。テントの壁には傘がつるしてあったりジュロコロがいたり。なんと道々のキャガプシーやテントの布はお客さんから募集したものらしい。優しい世界。中央の大きな布は公演の中で形を変えていくけど、主張しすぎずいつも自然にある。客席の前後左右も舞台なので、座る席によって見える景色ががらりと変わりそうで、末原さんも「どこが良い席なのか、私たちにもわかりません」と仰った意味がわかりました。ぶっちゃけ「次見るならあの辺で見たい」というのはあったのだけど、たぶんそこで見たら「次はあっちだな………」というのが生まれる。無限。拝見したのは夜公演だったので暗くなるにつれて灯る明かりが幻想的だったのだけど、暗転し得ない昼公演も魅力的で気になる。

 

あと物販で電子マネーもクレカも使えますよ。天才的で財布の紐が消えますね。

 

いま、昨日までの自分とまだキャガプシーに出逢ってない人全員が羨ましい。それくらい素敵な出逢いだった。

とりあえず1度、行ってみてほしい。来週末までの魔法です。

焔の命 観劇雑感

オフィス上の空プロデュース 火遊び pray.08

火遊び公演「焔の命--女優の卵がテロリストになった理由」

5月11日(金)19時公演

公演後、物販にいらっしゃった脚本・演出の松澤くれはさんに「いま全然感想うまくまとまりません…………」とお伝えしたら「あとでSNSにでもぜひ!」と仰っていただいたのでよ〜し書いちゃうぞ〜!と思ったのですが、ツイッターに書けるテンションじゃなかったので久しぶりにブログを書きます。しかし結局全然まとまっていない。

楽しかったとか、観てよかったとか、そういうことを軽々しく言えない、でもたくさんの人に観て色んなこと考えてほしかった、そんな作品でした。観た人がどんなこと考えたかすごく気になって、観劇してからずっと「焔の命」でツイッター検索してるし引っかかったブログ全部読んだ。関係者か。

 

 https://uwanosora-hiasobipray08.jimdo.com

 

国内最大と言われたテロを取材するノンフィクションライターの視点と、テロの主犯格とされた主人公・真理子の語りを中心に話は進んでいく。

劇団のメンバーがテロ行為に傾倒していく過程がとても恐ろしく、だけどなぜか妙に納得してしまうような説得力があった。冷静に考えれば絶対におかしいのに、追い詰められていたり同調圧力があったりすると、あんな風に進んでいってしまうのを止められないのかもしれない。演劇をしたい、演劇で世界を変えたい、演劇で思いを伝えたいという信念から、自分たちが売れないこの世界を変えたい、ぶっ壊してしまいたい、どんな手段を使ってでも主張を伝えたい、と変化していってしまう流れが不自然なはずなのにどこか自然に感じてしまって恐ろしかった。起こってしまったことは絶対に許されることではないんだけど、では具体的になにがいけなかったのか、どうすればよかったのか、うまく答えられない自分がいる。

真理子の彼氏が言っていた「あそこで止めておけば事件は起こらなかった、そういうのはありません」という言葉がやけに残っている。事件は止めようのないものだった、と結論付けてしまいたくはないけれど、何が悪かったのかとは言えない、ひとつひとつの歯車が少しずつずれていってしまった結果でしかないのかもしれない。

劇中の言葉に反することを言うけれど、わたしたちと劇団員たちは違う。法の目で見れば最後はこちら側とあちら側の人間になってしまう。だけどやはり、その境目は非常に曖昧で、少しのきっかけで彼ら彼女らもこちら側にまだいたのかもしれないし、逆にわたしたちが些細なきっかけであちら側に行くことも当然ある。

 

劇団がなぜ売れないのかのくだり、どこまでリアルなんだろう。劇団やってる人ならまた違う視点で見えてそう。いやいや集客が悪いことについて「観客が育ってない」とか言われてもな!?と思ったけど、まあ確かに観劇って最初の一歩までが一番長いんだよなあ。時間もお金もかかるし、劇場まで行かなきゃいけないし。そうまでしても面白いって保証ないし。でも、だからこそ演劇なんだ!と熱く語っていた森さんが最後に演劇を捨ててしまったのが重かった。

 

余談ですが真理子と赤城さんの車でのシーン、以前似たようなことがあって、血の気と相手への好意が音を立てる勢いで引いたことを思い出したのだけど、後ろでわりと笑っているおじさんがいて、そうかここは笑いどころになるのか…………と勉強になりました。(?)

 

作中で人物として興味深いと思ったのは真理子の妹、伊玖子。姉とは反対に思ったことをずばずばと言う、けれどやりたいことはやれず、最後には「ピアノを続けたかった」と残して自殺してしまう。真理子のように爆弾を投げるのではなく、自分を殺すことで自分という卵を割ってしまった伊玖子。自分のために生きられなかった伊玖子が最後に死を選んでしまったのがとてもしんどかった。

 

最後のセリフに重みしかなかったのと、公演が終わってカーテンコールがなかったことで芝居と現実の境目が曖昧になって、なんとも言えぬ居心地の悪さというか、もしかしてお芝居じゃなくてひとつの出来事を今まさに目撃してしまったのではないかという気持ちにすらなってしまった。公演前に松澤くれはさんが「舞台上と客席に境目はない」ということも仰っていて、今回すごく『境目』という言葉について考えたなあと思う。『あの人はおかしいから罪を犯した、異常だから自分たちとは違う』『舞台と客席は別物で自分は客だから舞台をつくる立場じゃない(からスマホの電源をつけっぱなしにする、公演中に遠慮なく咳をする、等々)』とかって境目をひくのって便利だけど、無責任。実際に人間の感情や行動の過程に境目はなくて、最終的にどうだったかの違いでしかないのかもしれないと思った。

 

劇中のちょっとした言葉とかが松澤くれはさんの他作品とも少し繋がっているらしくて、その辺がわからなかったのがもったいなかったな〜と思うので、機会みつけて他の作品も観たいです。

クソ野郎と美しき世界

先日、日本橋の最終上映を見てきたんだけど満員だった。ちなみにそのひとつ前の回も、前日時点で満席だったので、都心で働くスマヲタの意地を感じた…。余談ですが(そもそもこのブログの九割は余談)、上映前のロビーがざわざわしてたのにクソ野郎の予告が流れたときだけだいぶ静かになってだいたいみんな顔上げるの最高に愉快だったし、舞台挨拶もないのに満席になっているシアター6に座って、ここに居る人みんなSMAPのこと好きなんだなって思ったら上映前から感極まっていた。

 

ピアニストを撃つな!

のっけからザ・稲垣吾郎。西洋の高級絨毯のようなガウンを着ている(偏見)!応援上映に行って吾郎さんの「ちょっと待っててね」に「は〜〜〜いっ♡♡♡」と返すばかな女になりたい人生だった。

フジコ役の馬場ふみかちゃんがべらぼうにかわいい。わたしが財力のあるおじさんだったら、馬場ふみかちゃんを観るために毎日映画館に通っていたのに…。油田が来い。

園子温監督の作品は今まで2つしか観ていないんだけど、何というか、艶かしくて衝動的なものを非現実的に描写している雰囲気が吾郎さんの色気にうまいこと合っていたような、あのスピード感に居る吾郎さんが新鮮だったような、そんな印象。

 

慎吾ちゃんと歌喰いの巻

まずタイトルが天才じゃないですか?慎吾ちゃんて。41歳になっても慎吾ちゃんは慎吾ちゃんなんですよ。ありがとう世界!あと歌喰いと寝てるときに寝間着の肩の縫い目部分に穴開いてませんでした?勘違いだったら妄想が過ぎて土下座案件だけどもう穴にしか見えなくて最高だった。

歌喰いという存在はファンタジーだけど、慎吾ちゃんも歌喰いも声とテンションが低めだからかそのことに対する驚きとかが良い意味で長続きしなくて、わりとすんなり受け入れられたのはよかったと思う。

紀伊尾さんが『また逢う日まで』を失ったときに首を括ろうとしたのは、歌を失った彼らの気持ちだったのだろうか。マネージャーさんがやめてと言いながら止めきれなかったのは、その気持ちを痛いほどわかっていたからなのだろうか。歌を失う、ということの本当の辛さは、歌をレーゾンデートルとしない自分にはわかり得ないものだけど、いつかこの話のように、彼らが歌いたいものを歌える日が来るようにと願うばかり。

しかし紀伊尾さんに拳銃を渡したマッチョがおそらくベーグル作りの先生だったのが面白くて思い返しては笑っている。そして淳くん最近スーツ姿ばかり拝見している気がするかっこいいむりわたしともライン交換しよ。

 

光へ、航る

1カット目から最高に恐くてでもこれだよこれ!!!!という気持ちになった。ただ冒頭のシーンがまじの不倫現場に突っ込んだのかいわゆる美人局的なやつだったのかがよくわかっていない。文春砲の煽りが激しかったのはわらった。新井さんがあの尺しか出てこないの贅沢じゃない?いいのか?沖縄だぞ?(?)航と光の「お父さんみたいにならない」「お父さんみたいな人になる」の対比がぐさっときた。

 

新しい詩

慎吾ちゃんが歌うところで涙どぼどぼ流れてきて水分枯れてしまうかと思った。慎吾ちゃんの歌と絵とあれこれを混ぜて生まれ変わったうんこ、から作られたベーグル。お給料が入ったら自由が丘へ行こう〜ベーグルが食べたい〜

新しい詩の『世界のどこかにきっと仲間がいる』っていう歌詞がとても好き。映画館やクソショに行ったら人がたくさんいてすごく嬉しい気持ちになったし、あ~また明日からがんばろう!と勝手に勇気付けられた。以前、にのみやさんが『死ぬときはコンサートのときがいい。まわりが全部味方だから』みたいなことを仰っていて、それに近い気持ちかも。

ところでエンドロールの『現場アシスタント ゴリラ』はさすがに笑った。ゴリラも手伝ってくれる新しい地図…(違)

 

三人それぞれの話があって、本人のキャラクターに寄せた慎吾ちゃんと吾郎さんは本名で出ていて、役者としてのイメージに寄せたつよぽんは工藤という役名で出るというのはおもしろいなあと思った。

3つの話を半端にリンクさせるくらいなら全く関係ない三人にしておいてもよかったと思うけど、時間をかけて擦り合わせてきっちり作り込む時間を取ることよりも、地図を立ち上げてから映画を届けるまでの時間を短くすることに重きを置いた結果なのだろうと思うので、第二弾ではその辺よろしくお願いしたい。

 

動員28万人超え、そして第二弾決定おめでとうございます!

慎吾ちゃんがYouTubeでタイトルこんなのは?って話していて、『クソ野郎、宇宙へ行く』はファンタジーにもヒューマンにもSFアクションにもなりそうだけど、『クソ野郎、ハワイで大慌て』はコメディの予感しかしません(笑)さてどんなタイトル、どんな話になるのか。そしてどんな三人が観れるのか、楽しみだ〜!貯金します!