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文章を書く練習

死神遣いの事件帖

死神遣いの事件帖大千穐楽おめでとうございました!

自粛明け、最初に見た映画が「死神遣いの事件帖-傀儡夜曲-」で最初に見た舞台が「死神遣いの事件帖-鎮魂侠曲-」でした。作品そのものも大好きだったけど、そういう意味でも忘れられない作品になったと思う。

東映ムビステ第二弾である「死神遣いの事件帖(以下、しにつか)」、第一弾は見ていなかったので初ムビステだったんだけど、映画は柴崎監督(ニチアサ作品を多く手掛けている監督)だし舞台の脚本演出は毛利さんだし期待値は高かった。アクション監督は映画も舞台も栗田さんだし、鈴木拡樹さんの殺陣だしなんたって我らが安井謙太郎さんですよ!十蘭のビジュアルが発表されたときから勝利を確信できて物凄く楽しみだった。ガチャリコが中止になってしまったので7ORDERとして活動を始めてから初の個人仕事でもあり、映画の公開が少し延期になってしまったり、舞台のチケット販売も再販やらあって製作中心に座組としても大変だっただろうけど、無事に映画も公開されて舞台終了後も今のところ何事もなく*1、本当に各所に頭が下がる思い。安井くんも舞台配信の特典映像でちらっと話していたけれど、今回の対策にあたって座席数も半分、検温消毒換気やその他諸々の対策を講じた上に(その支出損失を補うためというのももちろんあるだろうけど)映画のトークショーを配信してくれたり舞台配信用に各回特典を用意してくれたりと製作も役者陣も普段以上に目まぐるしく頑張ってくれているのだろうなと思った。

映画は6月に公開されて何度か見に行きました。90分と若干短めでニチアサを感じるストーリーの疾走感もありながら、鈴木さんを始めとする圧巻の殺陣もあり、CGもありで華やかさもありつつ幻士郎さんと十蘭の絶妙な関係性も感じられる作品でした。橋の上での十蘭と幻士郎さんのやりとり大好きだった。十蘭が不器用に人間との距離を縮めていくのを幻士郎は歳下ながら見守ってくれていたのかな、なんて思ったりもした。十蘭って"残酷の死神"だったときの記憶と能力を失ってから数えても50年ほど経っているわりに幻士郎さんと比べても人との別れへの苦しみを隠せないのが愛おしい。幻士郎さんは十蘭にとって交流できる数少ない相手だったからというのもあるのだろうけど、もしかして死神の精神の成長って人間より緩やかなのかな。あの見た目で526歳だから人間の20分の1くらいだと仮定すると、舞台の時点で記憶を失ってから50年ほどらしいので、そうなると人間年齢だと2歳くらいなのでは…?とか考えてしまった。イヤイヤ期の園児じゃん。*2

久正人さん*3がデザインを手掛けた十蘭D、人形だけど目や眉がよく動くので表情豊かでかわいい。そりゃみんなメロメロになりますわ。しかも安井くんの声がするんですよ十蘭Dから!喋らなかったけどまさかのキラメイジャーへの出演もしていて感動した。次は安井くんもニチアサ出てね。怪獣役もね。笑

舞台も1回見に行きました。劇場の対策としては「事前の連絡先登録」「入場前の検温と消毒」「物販の規模縮小(通販)」「スタッフさんと最前列の観客のフェイスガード」「座席間隔の確保」「公演前と幕間での換気」「規制退場」かな。同時期に行われていた他の舞台では役者もフェイスガードしているところも多くて、その辺りは差異が出ていたけれど、換気する時間を設けるために2部制にしたと毛利さんがどこかで話していたのでお芝居の演出自体も対策を考えて変えた部分があるのかな、とこれは想像ですが。あと東京公演に加えて地方公演もあったのですが、楽屋が違う役者さんとはほとんど舞台上で顔を合わせるのみだという主旨の発言を安井くんがしていたので、舞台裏もかなり気を遣っていたようです。そういえばほとんど楽屋写真も出なかったな…改めて許すまじコロナウイルス

あとこれもまた安井くんが特典映像のインタビューでちらっと話していて個人的にもそこが気になっていたのでそれ~~~~!と思ったんだけど、幻士郎さんは幻士郎"さん"なのに新之助新之助って呼び捨てなんですよね。幻太夫さんは幻太夫"さま"だし。そこの距離感が徐々に縮まっていくところも十蘭の魅力だと思うので、幻太夫さんとのお話もぜひやってほしい…。ていうかもうこれ二次創作の域に入っていきそうだけど幼少期の幻士郎さんと十蘭とかめちゃくちゃ見たいんですよね。わたしは十蘭の虎柄しっぽは幼い幻士郎さんが勝手に張り付けたのを十蘭が「まあこれはこれで良いんじゃないですか」って受け入れたやつだと思っているので…。

配信買ったのは2回。初日と安井くんのインタビューが得点映像で付いた回。舞台だとどうしても十蘭中心で見てしまうのでいろんな人の表情までじっくり見られるのも良かったし、それぞれスイッチングも違ったのでそういう意味でもまた見え方が変わって良かった。そしてなにより回を重ねていくことでそれぞれのお芝居が変化していく様子が見らられる感覚がとても久しぶりのもので嬉しかった。百目鬼の「ほっほっほっ」がどんどんなじんでいく様子とか、天元から十蘭へのスキンシップの変化とか、十蘭から幻士郎さんへの想いの爆発度合いとか、見るたびにお芝居自体の変化もあったし、観劇や配信視聴の間にいろいろなインタビューを読む時間もあったのでそれを見るたびに見えてくるものもあって何度見ても新発見があった。

千穐楽はライビュで見たのですが、特典映像で百目鬼役の陣内さんが自分なりに組んでいた設定の一部を話してくれたのが非常にテンション上がりました。百目鬼と十蘭の過去とか、映画での百目鬼の発言(「お前の面は忘れぬぞ」)の由来とか、そうやって考えながら見るとまた新しい見え方もしたし、ということはあの発言は…!?とかまた色々と想像も膨らむすごく良い感じの裏設定蔵出しでした。

そして今回、特典映像やマイナビのインタビューで安井くんが観劇しないことを決めた人への言葉も伝えてくれていた。

https://news.mynavi.jp/article/20200814-1223485/

わたしは"関東在住・都内勤務"で、電車通勤ではあるけれど"接する人が限られている仕事"をしていて、さらに"ひとり暮らし"で"持病なし"のそれなりに健康な人間だったから観劇することを選んだけれど、そのうちのどれかが欠けていたら配信だけで我慢するという選択をしていたと思う。実際今年は実家に帰らないつもりだし、今年いっぱいは遠征もしない予定でいる。その他様々な事情のもとで今回観劇をしないという選択をした人はたくさんいるだろうし、そこを汲んで言葉にして伝えてくれる安井くんは本当に信頼できると思った。

あと最後にまじでどうでもいい話しますと、自粛前最後に見た映画はゲイツマジェスティで舞台は共骨なんですけど、ゲイツマジェスティには押田岳さんが出ていて共骨には谷口賢志さんが出ていたんですが、しにつか映画には押田岳さんが出ていてしにつか舞台には谷口賢志さんが出ていたんですよね。なんか不思議なご縁。

*1:千穐楽の2週間後に体調不良者なし、となってひと区切りな制作が多い気がするので

*2:十蘭の言動について考えたりもした https://fusetter.com/tw/YXtMEa1f#all

*3:ニチアサの怪人デザインをよく手掛けている方